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渡部裕子「〇△□」 仙厓義梵〇△□へのオマージュとして
仙厓義梵(せんがいぎぼん 江戸時代の禅僧1750-1837) の「まるさんかくしかく」という作品を観たことがあるだろうか?「〇△□」というシンプルな図形だけが描かれており、仙厓の禅画のなかで理解できないと言われている作品のひとつである。仙厓自身の賛文も発見されておらず、さまざまな解釈が自由に飛び交う。
禅で言うところの「丸・三角・四角」は、「〇」は円相。欠けることのない絶対的な真理や境地であり、宇宙に存在する全てのものを指す。「△」は我々が座禅をする姿(佛に近づきたいと願う形)、「口」は常識など何かにとらわれている愚かな姿(これらの解釈は諸説あり)。ただし、仙厓義梵の作品が描かれた時代と今とは我々を取り巻く環境はまったく異なり、その三つの要素について向き合う為に必要な時間は、必要のなさそうな無駄な「情報」に奪われてしまっているような気がしてならない。さまざまな真実や本質と向き合い、自分自身や自分自身の「生」と対峙することの大切さを教えてくれるこの仙厓の「〇△□」は、わたしたちの日常のなかから向き合うべきことをそっと取り出し、見えていないけれども確実に存在する何かを発見する扉を開くことを可能にしてくれそうである。
偶然にも、港まちづくり協議会のまちづくりテーマは「暮らす(〇) 、集う(△)、創る(口)」だそうである。渡部が仙厓の作品に尊敬の念を示して制作した作品群「〇△□ 一太陽・月・地ー」と、港まちづくりのビジョンとが重なるとは、ユニークな偶然である。
一見難解な作品群と思われがちだが、観覧者はこだわりを捨て、自由に観て、自由に感じ、自由にニャリとしてくれれば幸いなのである。
書家・アーティスト
渡部裕子 わたなべひろこ
名古屋市在住。フランス、アメリカなど国内外での個展開催、ホテルやレストランなどへのインテリア書作品の提供、金シャチ横丁やヤマサちくわなどのロゴデザインや、郡上八幡城や西尾城などの御城印(商業書道)、ステージや展示会での立体書舞台装飾、EU 連合japan をはじめ企業依頼や世界各地でのライブパフォーマンス公演など、渡部自身がテーマとする「感・景・無」を書(一字書・墨象)で表現するためのさまざまな活動をおこなっている。
2003 年より、立体物の側面に揮嘔(きごう)し積み上げ、全体で1つのテーマとする、立体書インスタレーションアートの発表をはじめ、2014 年には南オーストラリア州立美術館(アデレード)に作品11点が収蔵される。平面(文字・墨象)、布、立体、映像など、従来の書の表現にとらわれずさまざまな技法をもちいて、日々新たな世界の扉をひらいている。豊橋筆、鈴鹿墨、美濃和紙、新城硯、西尾雲母などを使用し、地域の素晴らしい宝の普及にも努める。
開催概要
日 時| 2025/1/18(土) – 2/8(水) 11:00-19:00 最終日は17時まで(入場は閉館30分前まで)
会 場|港まちポットラックビル3F
休館日|日・月・祝
料 金|無料
主 催|港まちづくり協議会
企画運営|株式会社ターニング・ポイント
定員に達していない場合、当日参加可(先着順)
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